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September 2018

Bologna ~ Venice/Florence 

​ ここBolognaに来たのは偶然が生んだ必然からだった。約3年前、ハワイのノースショアに住んでいた頃知り合いの店で少し仕事を手伝っていた時の話。そこにとてもアメリカ人には見えない奇抜な髪型をしたカップルが入ってきた。軽く挨拶をすると彼らのアクセントからすぐイタリア人だとわかった。どうでもいいがハワイに数年住んでいて世界各国から観光客や移民と接していたので彼らの英語を聞くとどの国の人か大抵はわかるようになっていた。(笑)

大抵ハワイに来るヨーロッパ人は有名なサーファーかハネムーンとして来るカップルだから珍しくはない。イタリアから来たんだねと言うと向こうは少々驚きながら嬉しそうにそうだと言いボローニャから来たんだと答えてくれた。それが始まりで2人とすっかり意気投合し彼らのハワイ滞在中に何度かローカルスポットを案内したり美食家である彼らを数少ないハワイのおすすめレストランに連れて行ったりした。彼らが帰ってからも頻繁に連絡をとるようになりいつしか彼らに第一子ができた。そんな嬉しいニュースを受け取った頃には僕も日本に帰国してアメリカではない国々を周ろうと決めていた頃だったのでそれならと、ここボローニャに行き着いた。

あまり関係ない話だが僕が世界を旅する基準というかきっかけはだいたい出会った人を後に尋ねるという感じだ。それが日本で出会おうと旅先で出会おうと関係ない。だから相手国に行った時はとことん甘えさせてもらう。その代わり彼らが日本に来た時はとことんもてなす。こんなスタイルだから常に自分一人で旅をするしそれが一番楽であり相手にも受け入れてもらいやすい。なるべく費用をおさえて長く滞在する僕にとっては恩恵を受けることがどれほどありがたいか。。

そんな彼らに会うためにここボローニャにやってきたのは9月中旬。待ちわびていた友との再会とずっと憧れていた古き良きイタリアを約3週間、思う存分堪能した。

このBolognaに着いた途端、僕はなぜか懐かしいような気分がした。もちろん初めて来たのだがなんだろう。。

このどこか落ち着いた空気感と歴史的建造物が醸し出す独特の匂い。世界中どこを訪れても最初はどこか落ち着かないものだが列車を降りて街を少し散策すると一層その気持ちは確かなものになった。

建物と建物がぴったりと隣接しながらも家のすぐ裏には小川が流るるこの抜け感。いつの日か母親の実家がある北九州で遊んでいたあの頃の日本の原風景とどこか重なった。その頃の思い出が少しフラッシュバックした時

先ほど抱いた懐かしさの理由が解けた気がした。

数年ぶりに再会した友人Riccardoが最初に連れてってくれたのは数あるBolognaのジェラート屋さんで確実にNo,1だというMucho Gusto。Bolognaの中心街から少し離れたシャッター街の一角に構えるここには、こてこてのイタリア人親父がいた。

彼が自ら足を運び名だたる農家から直接仕入れた果物やコーヒー豆を独自のセンスと感覚で作り上げる彼のアイスクリームやジェラートは食べた者を確実に魅了する。

一つ一つの味や仕入れた農家について熱弁しながらこれまた一つ一つテイスティングさせてくれる彼をカウンター越しに眺めながら、きっと多くのBologna人は、いや地方からも来る人々はこの最高のジェラートはもちろんおそらく彼に会いにここまで来るのだろうと確信した。

​ちなみに自分は何よりもピスタチオが好きなのでピスタチオのジェラートにしようとしたが彼のセンスに任せでてきたのはピスタチオのアイスクリームにジンジャーハニーとシチリアレモンのジェラートのかかった究極の1品だった。

この日は土曜日。多くのお店がシャッターをおろす。それでも街には多くの人々がワインを片手にまだまだ暖かい週末の夜を楽しんでいた。数年前に出会った大切な友人の間に産まれたAndrea君との対面を果たし彼らと共に街に繰り出した。

イタリア人は本当におしゃれだ。Riccardoはとりわけファッション系の仕事をしているから特にかもしれないが僕を迎えにきてくれた時とはまた別の装いで夜の街へと案内してくれた。

Riccardoの妻となったLuciaの要望で最初に立ち寄ったのはBolognaで1番古いブックストア。3階建の大きな建物では3Fのイベントスペースのような空間でワインの試飲会が開かれていた。さすがイタリアと感じたのは束の間、1Fの出口外に設置されたテラス席に案内され何が飲みたいかと聞かれた。困惑した顔をしているとLuciaが笑いながら”ここの本屋はカフェも経営しているのよ。ここでは軽い食事もできるしソムリエもいるからスターターとして軽くひっかけるの。” それからでてきたのは生ハムにチーズとラフランスが付いた皿と白ワイン。それをBolognaで最古の本屋のテラスで楽しむ。そこでやっとイタリアに来たんだと実感したのであった。

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